「ヤクーバとライオン」はこんな本
- 作 ティエリー・デデュー
- 訳 柳田邦男
- 2008年 講談社
アフリカのとある小さな村。
少年たちが戦士になる特別な日。
村の人たちは祭りの準備に取りかかり、少年たちは戦士になるためライオンを1人で倒しに行く。
少年ヤクーバもその1人。
ライオンと戦い勇気を示さなければ戦士として認められない。しかし、ヤクーバの前に現れたのはすでに傷を負ってたたかう力のないライオンだった。
ライオンはヤクーバに語りかける。
「お前には、二つの道がある。」と。
一つは弱っている自分を殺す道。もう一つは殺さない道。
自分を殺せば戦士になれ、村での名誉が与えられる。だがそれは本当の名誉か?
殺さなければ気高い心を持つことができるが村では仲間はずれにされるだろう。
ヤクーバは殺さない道を選んだ。
戦士にはなれなかったが、その村がライオンに襲われることな二度となかった。
「ヤクーバとライオン」は表紙はアフリカの大地を思わせるような茶色と黒のみで描かれています。
そして中身は白と黒の二色のみ。
力強いデッサンのような絵で、とても引き込まれます。
お話の内容もそうですが小さい子向きではないかな。
本当の勇気とは、を考えさせられます。
あとがきによると、この本がフランスで出版されたのは1994年。
1994年と言えばルワンダ大量虐殺が起きた年です。
殺さない選択。憎悪の連鎖をたつことを社会に強く訴えた絵本です。
ヤクーバは気高い選択をしたけれど、仲間はずれになることがわかっていて果たして自分はそんな選択できるかな・・。
絵本の教訓として学校でも当てはまりそうな選択ですよね。
高学年の子に読んであげたい1冊ですが、これだけで終わったしまうとちょっと重いので少し、ホッとできるお話と合わせるのが良さそうです。
このお話には続きがあって、「ヤクーバとライオン Ⅱ 信頼」という絵本も出ています。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね。
※ちなみに2024年現在、ルワンダは悲劇を乗り越えアフリカの中でも治安の良い国へと変わっています。